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レジーナ オートチェンジャー 婚礼の合唱 & カヴァレリア

被災者の方や不安な気持ちで過ごしている方々に、少しでも元気になっていただきたいと願って、オルゴールやオートマタの映像をYouTubeに応援投稿しています。

ファイル 347-1.gif Regina "Corona" Style35

今日はレジーナ社のコロナ・スタイル35の演奏をお楽しみください。

19世紀の終わり、当時大変人気のあったディスク・オルゴールの唯一の苦情は「ディスクを交換するのが面倒」というものだったのでは?
現代のCDのように1枚のディスクに何曲も曲が入っている訳ではありませんので、通常は1曲聞く度にディスク交換が必要でした。
そこで考えだされたのがオートマチック・チェンジャー機です。
レジーナ社のチェンジャー機には「コロナ(王冠)」の愛称がつけられ、3種類の大きさのディスクに対応した(15 1/2 20 3/4 27inch)商品が発売されました。
(ステンドグラスに輝く王冠をご覧下さい。)

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ケースに12枚のディスクをセットすることで、スイッチを入れれば、次々と自動的に曲を換え演奏する画期的なオルゴールです。
1899年2月に1号機が出荷され、約15年間で数千台を販売したといわれています。

そんな訳で、今日は2曲続けてご紹介します。
「ローエングリン」より 婚礼の合唱
「カヴァレリア・ルスティカーナ」より 間奏曲
どちらも良く耳にするクラシック曲で、オペラのなかの1曲です。
 
 
ファイル 347-4.gif Lohengrin_Braba (Wikipediaより)

「ローエングリン」はワーグナー作曲のオペラで、1850年初演。
白鳥の騎士”ローエングリン”とブラバント公国の先帝の王女エルザ姫の悲劇的恋愛を描いた作品です。
「婚礼の合唱」は第3幕の礼拝堂のシーンで歌われます。
メンデルスゾーンの結婚行進曲と並んで 結婚式定番クラシック曲 です。
 
 
ファイル 347-3.gif Cavalleria Rusticana Illustration Circa 1880 (Wikipediaより)
 
「カヴァレリア・ルスティカーナ」の間奏曲。
この"間奏曲"があまりに素晴らしすぎて、後にオペラのあらすじを知った多くの人をがっかりさせてしまうという魔法?の曲です。
「カヴァレリア・ルスティカーナ」は不倫のもつれから決闘に至る物語で、マスカーニによる1890年初演の約70分の短い歌劇です。
「カヴァレリア・ルスティカーナ」は「田舎の騎士道」という、これもがっかりに拍車をかける意味だったりします。
 
 
電気を使わず、ゼンマイの力だけで動いています。
 

カフ・ボックス 「マルタ」より 夏の名残のバラ (庭の千草)

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今日はアメリカ、オットー・アンド・サンズ社のキャピタル・カフ・ボックスの演奏で、「マルタ」より 『夏の名残のバラ』です。

日本では「庭の千草」で知られている曲です。
この曲は、アイルランドの国民詩人として名声を博したトマス ムーアの美しい詩に、ジョン・スティーブンソンが曲をつけたものという説と、アイルランド民謡にトマス ムーアが詩を付けたという説があります。
しかし、面白いことに19世紀のオルゴールでは、ドイツの作曲家フロトーのオペラ「マルタ」*1の『夏の名残のバラ』という表記が一般的です。
つまり、作曲家のところにフロトーと書かれているのです。
それはスイスで作られたシリンダー・オルゴールでも、ドイツやアメリカで作られたディスク・オルゴールでも同様です。
きっと、当時のヨーロッパで『夏の名残のバラ』はフロトーの「マルタ」によって広まったのでしょう。

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この機種はソフトの形が変わっています。
博物館6階のソフトの棚では中央上から6段目に収納しているのですが、「あれは何ですか?」と必ずと言っていい程、質問される異彩を放った色と形などです。
アップで見てみると・・・。

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ブルーあり、ゴールドありです。
大きい方の直径約11cm、長さ約19.5cm。(タイプC)
シャツの袖のような形をしているのでカフ(cuff)と名付けられました。
アメリカのオットー アンド サンズ社がキャピタルというブランド名で1895年頃に売り出したオルゴールです。
形はシリンダーに似ていますが、カフを換えることができ、機能はディスクに似た珍しい形。
スター・ホイールを用いて櫛歯を弾く構造はディスクと同じです。
普段はディスクの裏側に隠れて見えない、スター・ホイールが櫛歯を弾く様子が良くわかります。

カフで演奏するオルゴールなので、カフ・ボックスと呼ばれるようになりました。

*1:『マルタ(正式名称:マルタまたはリッチモンドの市場)(Martha oder Der Markt zu Richmond )』は、フリードリッヒ・フォン・フロトー作曲の4幕のオペラ。初演は1847年11月25日、ウィーンのケルントナートール宮廷劇場。

ライブレからくりオルガン おとぎ話編

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今日は現代のオルガン職人ライブレさん(ドイツ)が製作したからくり付きオルガンの演奏です。
博物館コースの一番最後に登場する人気のオルガンです。

このオルガンは7曲入り。
1曲ずつ順番に演奏されます。
金の卵をお姫様がカエルに投げ与えたり、王子様がドラゴンを退治したり、鬼が出てきたり、色々なお話しが交錯するおとぎ話バージョン。
効果音とともに動くからくりは、各曲の雰囲気に合わせて動きます。
鳥が鳴く音、鐘の音、ドラゴンのうなり声などもお楽しみください。

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自動オルガンの仕組みを簡単に説明しますと。
背面のハンドルを廻すと、中に組み込まれた大きなバレルが回転します。
バレルとは大きな木製の円筒で、音楽信号となるピンが打ち込まれています。
回転するバレルのピンがキーを押し上げるとパイプに通ずるバルブが開き、フイゴに溜まった空気がパイプに送り込まれて奏鳴します。

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ちなみに、博物館のショップにはおじさんが肉団子を食べ続ける”肉団子編”もあります。
レジで50円と演奏用のコインを交換して、お楽しみいただけます。
 

サクラづくし

今週の初めから、桜の開花宣言が報じられています。
地震速報ばかりの携帯メールサービスの中に割り込んできた『福岡でサクラの開花が発表。』との知らせは、なんだかほっと微笑ましい気持ちにさせてくれました。
今年もちゃんと春が来るんですね。

オンラインショップではサクラの曲が入ったオルゴールをご紹介します。
 
  
レーザー彫刻がきれいな木製ボックスのオルゴールは新商品です。ピンクのボックスにはコブクロの『桜』が入っています。
 ファイル 333-1.gif 木製レーザー彫刻オルゴール 各1,260円 
 

日本古謡『さくらさくら』が入っているのは3種類。
桜模様の会津塗りが美しい宝石箱は蓋を開けるとオルゴールが鳴ります。
すらりとした姿が美しい陶器の天女オルゴール。演奏が始まるとゆっくり回転します。
そしてハリコの回転オルゴール。左手を上げているのは人を招くといわれています。商売繁盛になるかも?
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会津塗りオルゴール 9,450円/ 陶器天女オルゴール 3,150円/ ハリコのオルゴール 招き猫 各2,100円 
 

森山直太朗の『さくら』はフラワーペーパーオルゴールと手廻しのオルゴールに入っています。ペーパーオルゴールのデザインもサクラです。
 ファイル 333-3.gif ペーパーオルゴール サクラ 840円/ 手廻しオルゴール630円(BOXは別売りです) 

  
サクラづくしのオルゴール。お部屋に飾って楽しんだり、贈り物にもいかがでしょうか。
商品名をクリックしていただくと各商品のページが開きます。

ポリフォン104 剣士の入場

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今日は1890年代製作のドイツのディスク・オルゴールの演奏です。

スタイル104と名付けられた縦型(アップライト)のこの機種はドイツ、ポリフォン社のディスク・オルゴールです。
1890年代から2~30年間、つまり20世紀に入っても製造され続けたベスト・セラーズ機です。
直径約50cm(19 5/8inch)のディスクを用いて演奏します。
当時の広告に「1000曲以上が演奏可能で、どこでも人気があります。」と書かれているように、クラシックからポピュラーソングまで、様々なディスクが販売されていました。

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ケースのデザインは様々で、特に上部の飾りと前面の柱には色々なパターンがあったようです。
このオルゴールはコインを入れると演奏する営業用のオルゴールです。
ジュークボックスのご先祖さまです。
この機械はイギリスに輸出されたのでしょう。
コイン投入口には「1ペニーを入れて下さい」と表示があります。
イギリスではこのタイプのポリフォンが最もポピュラーで、多くはパブに置かれ、多くの人々に愛用されていました。

ファイル 341-2.gif Julius Fučík (18 July 1872 – 15 September 1916)

演奏曲は、チェコの軍楽隊の指揮者ユリウス・フチークの代表曲で、「剣士の入場 "The Entry of The Gladiators"」です。
私はディズニーランドのエレクトリカルパレードで最初にこの曲を聴きました。
「クラシックの曲だったの?知らなかった!」と多くの方に驚かれる曲です。
「題名は分らないけど知っている曲ランキング」などというものがあれば、きっと上位に入る曲です。
元々は軍楽隊のための行進曲だったそうです。
現在ではちょっと滑稽なイメージの入場の行進曲として、色々なところで使われています。
フチークは300曲以上の行進曲・ポルカ・ワルツを作曲し、作品のほとんどが軍楽隊のために作曲されていることから、時に「ボヘミアのスーザ」とも呼ばれるようです。
 

プードルのティーパーティ

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今日は1900年頃のオートマタで、プードルのティーパーティです。

これはディスク・オルゴールに付けられたちょっと珍しいオートマタ。
ハンドルを手で廻している間だけ動きます。
ケースの上には3匹のプードルがテーブルを囲んでティーパーティを開いています。
音楽に合わせてプードル達が紅茶をついだり、お茶を飲んだり、忙しく動く様が滑稽で微笑ましいオートマタです。

ディスク・オルゴールはドイツのアドラー社製。
直径18cmの比較的小さなディスクを使用しています。
アドラー社はオルゴールが廃れた後、蓄音機などの製造でも名を残すようになりました。

演奏曲は、ウェーバー作曲の[魔弾の射手」より 「花嫁の冠を編みましょう」です。
 
 

ステラ 春の歌

被災者の方や不安な気持ちで過ごしている方々に、少しでも元気になっていただきたいと思い、昨日に引き続き、YouTubeに応援投稿しました。

ファイル 339-1.gif Stella No.168 by Mermod Frere (Swiss , c. 1900)

1900年頃に製作されたスイス、メルモド・フレール社のステラの演奏です。
この機種はスイスで機械をつくり、アメリカに輸出、アメリカ製のケース組み込んで販売していたそうです。
ステラの音色は特長的でファンの多いオルゴールのひとつです。
オルゴールに詳しい人に「ステラといえば?」と質問したら、殆どの人が「ディスクに突起がない」と答えるでしょう。

ファイル 339-2.gif 一般的なディスクの裏の突起

通常のディスクは裏を返すと図のように突起があり、これが音楽信号となります。
しかしステラのディスクは表も裏も同じ、ディスクに突起がないのです。

ここから少々構造のお話になるので、ご興味のある方のみどうぞ。まずは、スターホイールと櫛歯の関係 をお読みください。

ステラのスターホイールは一つづつバネが付けられ、台座に取り付けられています。
ディスクの孔の無い部分ではバネが押さえられスターホイールは引っ込んでいるのですが、孔が開いているところではバネにより孔から飛び出します。
そしてディスクの回転とともにスターホイールも回転して櫛歯を弾きます。

メンデルスゾーンの『春の歌』をお楽しみください。
ディスクの孔によってできる陰が素敵です。

クラウン・マジシャン

被災者の方や不安な気持ちで過ごしている方々に、少しでも元気になっていただきたいと思って、YouTubeに応援投稿しました。

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マジックをするピエロのからくり人形です。
1900年頃にフランスのルヌー工房が製作しました。
オルゴールの動力を利用して人形を動かします。

ルイ・ルヌーは時勢を読むのが上手な商売人でもありました。
1886年からオートマタ製作に着手した新参者の工房でしたが、人気を博します。
ルヌーは当時とても高価だったオートマタの価格を下げて販売しました。
通常(35~60cm)の半分の大きさにし、からくりを簡素化することで、値段を下げることに成功しました。
この戦略が当たり、ルヌー工房では、1925年まで年間500体のペースでオートマタの製造を続けました。

これはルヌー工房の中でも大きい方のオートマタです。
美しい扇で顔を隠すとなんと!!! 
後は映像でお楽しみください。

「春の特別コンサート」の開催を延期

東日本大震災の影響による東京電力からの節電の呼び掛けや、計画停電による交通機関の乱れを考慮し、3月19日(土)に予定している「春の特別コンサート」の開催を延期します。

開催日に関しては計画停電が終了し、交通機関が回復した上で日時を決定し、ご連絡させていただきます。すでにご予約をいただいたお客様には、個々にメール等にてお知らせする予定です。

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こんな時だからこそ、オルゴールやピアノの音色を聴いていただきたいと思っていたためとても残念なのですが、皆様の安全を考慮して延期を決定いたしました。何卒、ご了承下さいませ。

演奏会コースは開催しております。ご来館をお待ちしております。

松島ベルギー オルゲール ミュージアムの皆さんと仙台の菊水さん

つい先程、松島ベルギー オルゲール ミュージアムのメンテナンスの職員の方から連絡をいただきました。

スタッフの皆様無事。建物や展示品は被災されたが、床までは浸水していないとのことでした。

海沿いのミュージアムでとても心配していましたので、皆様が無事と伺い本当に良かったです。心配されている全国のオルゴールファンの方もいらっしゃると思いましたので、ブログにアップさせていただきました。

また知る人ぞ知る仙台の菊水さん。ご本人もコレクションもご無事だそうです。

コメント一覧

ちゅうさん (03/16 08:51) 編集・削除

よかったです☆

壁一面の大きなオルゴールを見たときは、ビックリしました☆

なかなか大きなオルゴールは見られないし、何とも言えない音色にしばし聞き入っていました☆

あの、オルゴールが無事だったと聞いて嬉しいです(^◇^)

また、行って見たくなりました(@^∇^@)

ありがとうございました☆

スタッフAN (03/16 10:41) 編集・削除

すみません。書き方が分りづらかったでしょうか?

展示品はほぼ破損とのことです。しかし、水には浸からずにすんだようなので、倒れただけなら、修理して直る可能性大ですね。しかし、建物も被災され損壊、展示品もほぼ全部が破壊とのことなので、復旧には時間が掛かると思います。兎も角、皆さんが無事だったことがなによりです。

ちゅうさん (03/18 07:30) 編集・削除

勘違いしていてすみません。

やはり損傷が大きかったのですか☆

復旧したころ行ってみます。

また。あの大きなオルゴールが聴かれたら・・嬉しいです。

岩手のほの (03/24 21:00) 編集・削除

こんばんは!
今ごろコメントして読んでいただけるでしょうか。

今夜この記事を読んで、松島ベルギー オルゲール ミュージアムの様子がわかってよかったです。
どうなっているだろうと心配していました。
被災後の松島の映像を何度も見て大丈夫か確認を試みていました。

津波の水や泥はかぶらなかったんですね。
流されていなければいいがと心配していました。
それにしても損壊が大きいようですね。
時間はかかっても、また復旧してくださることをお祈りしています。

スタッフAN (03/25 10:45) 編集・削除

新聞に「島が守ってくれた」という記事が載っていました。博物館の側のことでしょうか?

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110323-OYT1T00077.htm

岩手のほの (03/26 00:37) 編集・削除

こんばんは!

そうだと思います。
わたしも東松島の被害の酷さに驚き、もしや・・と思い
ネットで航空写真の画像や映像を食い入るように見ましたが、ところによって被害の状況が全く違っていました。
屋根が残っていなくて更地のようになってしまっているところと、屋根が残って町並みがそのままのところと。
でも、写真では小さ過ぎて本当はどの程度の被害なのかわかりませんでした。

この記事で確認できて本当によかったです。
博物館を含め、残った方々がまた地域を元気にしてくださることと思います。
陰ながら応援しています。

スタッフAN (03/26 10:47) 編集・削除

ベルギー オルゲール ミュージアムさんが一昨日24日、震災後にHPをアップされました。オルゴールも無事とのこと。本当に良かったです。一日も早い復興をお祈りしています。

http://www.belgium-orgel.jp/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=74