新入りの勝手な思い込みかも知れないが、
いろいろな機種に囲まれていると、
ツヤのあるオルゴールには見とれてしまうし、
ちょっと乾いているような印象を受けると心配になる。
もちろん、100年、いやそれ以上の時を経ているので、
「時間の経過」と言ってしまえば、それまでだ。
最近、湿度が40%を切るようになった。
各階の加湿器は、フル稼働である。
夏には除湿もするので、湿度変化の激しさは、
ヨーロッパ育ちのお肌にはちょっと負担かも知れない。
ここで話題にしたいのが、オルゴールのお肌ケア。
最近、私は毎日保湿クリームを塗らないと、
肌がごわごわして、一日を過ごせなくなった。
木製の家具と同じような要領でケアが施される。
当館には、しっかりとワックスグッズなるものが用意されている。
その主なものが、「蜜蝋ワックス」である。
「本当に薄く塗ってね」
との注意をしっかり受けて、
スポンジの先にワックスを軽く乗っけて、
表面に薄くなじませていく。
それから、布でムラのないように伸ばして、
余分なワックスを拭き取る。
劇的な変化はもちろんないが、
ごわごわした緊張感のある質感から、
しっとりとしたやさしい質感に変わっていくのが感じられた。
目の前の機種にはじめて蜜蝋ワックスを塗らせてもらった愛着からか、
生き生きしてくれているような感覚にもなった。
「ジュースでも、飲みませんか?」
今日も先輩が差し入れのフルーツミックスジュースを持ってきてくれた。
コップに注いで、子どもみたいにゴクゴク飲み干した。
「なんだか、ジュースの体に染みこんでいく感じが、
蜜蝋を塗ったとき感覚に似ているのは気のせいでしょうか」
なんてくだらない冗談を先輩方にかましてしまった。
一応笑って流してくれたので、少なからず共感してくれたのかも知れない。
こちらの感覚も勝手な思い込みでないことを祈りたい。
(新)