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オートマタ紹介 2

9月11日より「妙技!オートマタ(からくり人形)展」が開催されます。
毎年、見所がいっぱいすぎて、何を見て良いのか分らなくなっちゃったというお客様も多いので、今年はオートマタ展に先駆けて、出演予定のオートマタを先に少しご紹介してみようと思います。

第2回は… 泣いているジャンと笑ってるジャンヌ。
どちらも1890年頃にフランスのヴィシー工房で作られました。
(ジャンは衣装や顔をリメイクしているかもしれません・・・。)
ジャンヌは20年以上前から博物館の子でしたが、ジャンは4年前にやってきました。
ジャンとジャンヌは100年あまりの時を経て再会!?

ジャンとジャンヌはフランスの一般的な男性と女性の名前です。
このふたりは、19世紀後半パリで人気のあったオッフェンバックのオペレッタ「泣いているジャンヌと笑っているジャン」をもじって作られたともいわれています。
ふたりとも学校のベンチに座っています。

ファイル 516-1.gif

 
 
 

泣いているジャン。
ロバの耳の付いた帽子をかぶり、泣いています。
帽子に書かれた「ÂNE」はフランス語でロバという意味。
この帽子は直訳すると「馬鹿帽子」っていう名前がついています。ひどい名前の帽子です。
昔フランスで, 覚えの悪い生徒に罰として、ヤギの耳付の円錐形の紙の帽子をかぶせていのだそうです。
今なら人権侵害で訴えられそうですね。
帽子の耳まで動くのでご注目を!


 
 
一方、底抜けに明るいジャンヌ!
足までバタバタさせちゃって、首を何度もかしげながら笑います。
右手に持ったマリオネットを上下させて遊びます。

ふたりの顔はビスク(陶器)ではなく、パピエマシェ(仏)、ペーパーマッシュ(英)と呼ばれる張り子でできています。
紙を何層にも張り合わせたり、水で溶かし糊や樹脂を入れて作った素材です。
(ジャンヌはどこかで日焼けでもしたのでしょうか?顔がボロボロになってきて、かわいそう。)

もっと精巧に動くオートマタではこのパピエマッシュのまぶたやあごに皮革を利用することで、人間のように瞼や口を動かすことができます。