昔、江戸東京博物館に行ったときに千両箱の重さを体験出来るコーナーがありました。持ってみるとこれは重い・・・。ネズミ小僧にいくら力があったって、こんな物抱えて屋根から屋根へ飛び移って、貧しい人達に小判配ったりなんて出来ないよ・・・と思ったものです。
博物館のスタッフにとっては当たり前のオルゴールの重さ。実際に持っていただければ良いのですが、そうもいきません。今日はオルゴールの重さについて、ご紹介してみることにしました。
1860年頃に製作された、スイス・ニコール・フレール社の6曲入りのこのオルゴールは、アンティーク・オルゴールではよくあるタイプの基本的な?オルゴールです。サイズは幅46cm、高さ13cm、奥行き16cm。
さて、このオルゴールの重量は約6㎏。約6Kgといえば、2L入りの大きなペットボトル3本分位です。
350mlの缶ビールなら約17本分の重さです。皆さんがご存じのオルゴールに比べればやはり重いといえるでしょう。
何でこんなに重いのか?
アンティークのオルゴールは美しい音色を奏でるために、大きく、多くの部品が使われています。
部品の中でも一番重いのはベットプレートと呼ばれる、金属の台座です。この台座の素材によって音色が変わると言われています。
台座(ベットプレート) 約1675g
二番目に重かったのがオルゴールの音楽信号となるピンが埋め込まれたシリンダーです。金属の筒の中は空洞ではなく、実はセメントと呼ばれる、松脂と煉瓦の粉を混ぜ合わせたものが、流し込まれています。そんなもの流し込むから重くなってしまうのですが、このセメントには2つの重要な役割があります。ピンを固定することと、音を良くするための効果があるのです。セメントの量が少ないと音色が悪くなってしまうといいます。同じくらいサイズのディスク・オルゴールに比べ、シリンダー・オルゴールの方が重いのも頷けます。
シリンダー 約990g
次にオルゴールの音を出す部分の櫛歯(650g)、ゼンマイ(410g)と続きます。その他小さな部品がいっぱいあって、木のケースとあわせると約6kg(6000g)となるわけです。
収録曲が多くシリンダーが大きくなったり、音域が更に広く櫛歯の本数が増したりすると、オルゴールも大きくなり重さも増します。また、オルゴールの他に、ベルや太鼓、オルガン等の楽器が付いたりしたら、ひとりではちょっと運べない重さになります。
企画展が変わるたびに、スタッフはこれらのオルゴールの入れ替えを行っていますので、見た目とは裏腹に(?)力自慢のスタッフが揃っています。