博物館コースで見学できる「技あり!シリンダー・オルゴール展」で公開中のシリンダー・オルゴールの紹介です。
オルゴールは金属の棒を弾いて音を出します。
通常のオルゴールでは同じ歯から出る音は、みな同じボリュームです。
音楽を演奏するのに強弱が付けられないのでは、あまり面白くありません。
そこで1840年頃にフォルテ(大きな音)用の太くて大きな櫛歯と、ピアノ(小さな音)用の細くて小さな櫛歯を持ったオルゴール作られるようになりました。
大きな音と小さな音を2つの櫛歯で弾きわけることで、強弱をつけて演奏します。
企画展では3番目に登場するオルゴールです。
ルクルト・ピアノフォルテ 1850年代 スイス ルクルト・フレール
なかなか良いアイデアです。
2枚の櫛歯が、交互に鳴って強弱のある表現豊かな演奏を披露してくれます。
しかし、同じ頃に櫛歯を2枚使わず、1枚だけで強弱をつけて演奏するオルゴールがありました。
エクスプレッシヴ シリンダー 1840年頃 スイス ルクルト&グランジェ
櫛歯は1枚しかないのに、微妙な強弱を付けて演奏します。
どうやってそれを可能にしているかとゆうと、シリンダーに植えられたピンの角度です。
1本1本が異なった角度で植えられています。
この角度が異なることで、櫛歯を弾く量が異なるために、音量が変わります。
シリンダーに対し直角に近ければ、櫛歯を大きく弾くために大きな音となるのです。
2枚櫛歯のピアノフォルテより優れた点は、1音毎に微妙な強弱の差を表現できるのです。
そこでエクスプレッシヴ(表現豊かな)という名が付けられたのでしょう。
何千本も植わったどのピンがどの音に対応すると分かるのでしょうか?
このオルゴールは8曲入りのオルゴールなのです。
気の遠くなるような作業の末に生み出された奇跡の音。
それが約170年後の現在でも残っていて、演奏を聴けるなんて・・・。
(ピンが曲がっているために、メンテナンスが困難で、きちんと演奏できるこの手のオルゴールはとても珍しいとのことです。)
博物館を楽しむグッズはカードルーペです。
エクスプレッシヴは必見!必聴!?です。