オルゴールの小さな博物館
 
 


オルゴールのソフトウェア 2

 
 

家庭用のディスク・オルゴール

 

 1886年、シリンダーの代わりに鋼鉄の円盤(ディスク)を使用したディスク・オルゴールが製品化されました。1台の機械があればディスクを交換するだけで、何曲でも音楽を楽しむことができるようになったのです。また、そのソフト(ディスク)はプレスによって大量生産が可能となりました。クラシック、オペラ、教会音楽、当時の流行歌、などなど、新しいソフトも続々と作られました。ソフトを容易に作ることに成功したディスク・オルゴールは、価格も安くなり、また音楽ソフトの充実も相まって、とうとう一般大衆にも広く愛用される音楽再生装置となったのです。

 その上、ソフトをシリンダーからディスクにすることで、ハードウェアの点でもディスク・オルゴールは様々な構造上の自由度を持つようになりました。重いシリンダーを使用しないことや、収録曲数を増やすために櫛歯に工夫をしなくて済むようになったため、音域の広い高度な演奏を安価で楽しめるようになったのです。コインを入れて演奏する営業用のオルゴールも誕生し、パブやレストランなど、人の多く集まるところに置かれ親しまれました。シンフォニオン社の記録には、1903年までに販売したオルゴールは6,000台、ディスクはなんと10万枚とあります。しかし、1920年代になると蓄音機などの新しい音楽再生装置の発展にともない、その姿を消してしまいます。

営業用のディスク・オルゴール

さまざまなディスク

 

 音楽再生装置として比較を行なえば、人の声やオーケストラの演奏など実際の音を再現する蓄音機にオルゴール達がかなうわけがありません。しかし、ディスク・オルゴールが衰退してしまったもうひとつの大きな原因は、そのソフトにあったのではないでしょうか。当時のディスク・オルゴールのメーカーは各社が個々に研究を重ね、家庭用から営業用のものまで様々な大きさのものが作られました。当然そのディスクの形状も大きさも異なったものでした。もし、ディスク・オルゴールのディスクに互換性があったとしたら、現在のCDのようにどのメーカーのハード(再生機)にかけても演奏できる様になっていたら、メーカー同士はその音色を美しくすべく技術の競争を行ない、その音色やディスクに収録する曲のアレンジにも各社の特徴がより生まれていたのではないでしょうか。メーカーがもっと消費者の為の努力を重ねていたら、もしかしたらディスク・オルゴールは現在でも進化を重ね現役で活躍していたかもしれません。

Update Mar. 2009

 
     
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オルゴールの小さな博物館は2013年5月15日をもって閉館しました。

Our Museum has closed its doors on May 15, 2013.