現在の私たちは音楽に囲まれて生活しています。1877年エジソンの蓄音機の発明は音楽をいつでもどこでも聴きたいという人々の願いに応えた画期的なものでした。しかし、エジソンが蓄音機を発明する以前にも、音楽を記録し、再生することに挑戦した人々がいました。この挑戦の歴史が自動演奏装置(オルゴール)の歴史でもあります。
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14世紀のヨーロッパでは機械時計が発明され、時計塔の時を告げる鐘(カリヨン)の音が単純なメロディーを奏でていました。木製の円筒にピンを埋め込み、このピンでキーを持ち上げてハンマーを動かし、音階の異なる鐘を叩きます。鐘を自動的に演奏するこのシステムにより、音楽を記録し再生することが可能になりました。その後16世紀初めのゼンマイの発明により、時計技術は急速に進歩します。
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やがて鐘はベルになります。調律したベルを時計に組み込んで音楽を奏でるようになるのです。そして、薄い金属の板を並べた櫛歯になります。長さを変えることで調律し、小さな時計にも組み込まれます。時計技術の発展とともにオルゴールはより精巧になり、その後、急速に時計技術から枝分かれして、音楽再生装置として発展していくことになります。 |
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1814年スイスのフランソワ ルクルトにより1枚櫛歯が発明され、シリンダー・オルゴールは商品化されました。やがてベルやカスタネット、ドラムなどの打楽器を加えたり、オルガンを組み込んでオーケストラの演奏ができるまでになったのです。シリンダーを送り込むことで曲数を増やし、またシリンダーそのものを換えることでより多くの曲を聴くことができるようになりました。しかし曲を記憶させることは針を1本1本人の手で植えなければならず、大変高価なものでした。
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1886年、ドイツのパウロ ロッホマンによってディスク・オルゴールが製品化されます。1台の機械があればディスクを換えることで何曲でも聴くことができるようになりました。機械の改良で音量も大きくなり、大きなディスクは長時間演奏も可能にしました。パブやレストランなど人々の集まるところでバック・グラウンド・ミュージックとして親しまれるようになりました。1877年、エジソンの蓄音機の発明がありましたが、まだ録音技術が悪くオルゴールは1920年代まで蓄音機と競争することになります。
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一方、音楽を記録し再生するためにオルゴールに採用された方法は、いろいろな楽器に応用されていました。小はハーモニカから、大は大型のパイプ・オルガンまで。楽器そのものを自動的に演奏する装置が数多く作られました。ピアニストのタッチまでをも再現する自動ピアノもできました。これらの技術の集大成といえましょう。しかし、ラジオ放送が始まり、録音技術の改良により、手間とコストのかかる自動演奏装置はその歴史を閉じることになるのです。
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Update
Feb. 2008 |