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シリンダーの代わりに鋼鉄の円盤(ディスク)をソフトととして使用したディスク・オルゴールは1886年、ドイツのパウル
ロッホマンによって初めて製品化されました。ディスク・オルゴールの最大の特徴は一台の機械があれば、ディスクを交換することで何曲でも音楽を楽しむことができるということと、曲を記録したディスクはプレスによって大量生産が可能になったということでしょう。 |
ディスク・オルゴールは、重く大きなシリンダーを組み込む必要がなくなったために、メカニズム部分をより大型化することが可能でした。このため最も重要な音を出す部分である櫛歯を大型化し、櫛歯の数も増やすことができるようになったのです。調律用の鉛も重量をまして低音がより効果的になり、また高音まで音域が拡大され高度な演奏が可能になったのです。
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ディスク・オルゴールとシリンダー・オルゴールの構造上のもう一つの大きな違いは、シリンダー・オルゴールはシリンダーのピンが直接歯を弾いて音を出すのですが、ディスク・オルゴールはディスクのピンが直接に歯を弾きません。スター・ホイールを利用して間接的に弾く方法を採用しています。スター・ホイールには8個から9個の凸起部があり、ディスクのピンがスター・ホイールの凸起にかかってスター・ホイールが回転すると、別の凸起が歯を弾くのです。スター・ホイールの凸起部はシリンダーのピンと比べると大きいために、ストロークも強くなってより豊かな音量を得ることが可能になりました。
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このようにディスク・オルゴールはシリンダー・オルゴールのいくつかの欠点を補うものとして考案され、家庭用の小さいものから営業用の大型まで数多くの種類が生産されました。こうしてディスク・オルゴールの市場は20世紀前半まで拡大していきます。ドイツにポリフォン、カリオペ、シンフォニオン、アメリカにレジーナ、オットー・アンド・サンズ等のメーカーが出現します。ディスク・オルゴールは音楽演奏技術の完成度の高さと生産システムの進歩とあいまって市場を制覇するのですが、1877年エジソンの蓄音機の発明など新しい音楽再生技術の発展と時代を同じくしながら成長しなければなりませんでした。 |
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