紙のロールを使用した44音の自動アコーディオン。中にゼンマイが組み込まれゼンマイの力でロールを送り込む。アコーディオンの蛇腹を開閉させ、更に足踏みのポンプにより空気の量を補助して、音を出す。但し足のペダル=ヴァキュームポンプは、大きさの割に控え目に作動するように設計されている。ゼンマイはロールの巻き戻し時に同時に行うため、ロールが巻戻っても、しばらくはゼンマイを巻く必要がある。
アコーディオンの前面のキイはダミーで、手動で演奏することはできない。
当時の広告には「足踏みポンプのチューブは演奏者のパンタロン、シャツ、袖を通してアコーディオンに繋げてください。するとリスナーからは、まるで実際に演奏しているように見えます。」と書かれていた。
1920年代から1930年代にかけてドイツのシーボルド社(Seybold)とホーナー社(Hohner)が大量の自動アコーディオンを世に送り出した。紙のロールを使用し、さまざまな形式のものがあった。ホーナー社のマジック・オルガナはアコーディオンのみのものと、電気モーターで真空ポンプを駆動したパーカッションの効果をプラスしたものが作られた。ホーナー社は現在でもドイツのTrossingenにあり、ハーモニカや同様の楽器の世界的に主要なメーカーとして、長年に渡り活躍している。