バレルを使用した自動ピアノのシステムは16世紀から存在していたという説があるが、バレル・ピアノが商品化されるのは19世紀になってから。イギリスのヒックス・ファミリーにより広められた。当初は、鍵盤のついていないものが多く、ストリート・オルガンのように街に持ち出し演奏することもあり、ストリート・ピアノとも呼ばれていた。
1840年代には厚い紙に孔を開け経本状に折りたたんだブックをソフトに用い、孔にキーを引っかけてハンマーを動かすものが考案された。長い厚紙を使うことで、長時間演奏が可能となるが、金属のキーにより紙のブックが損傷しやすいという欠点があった。
1880年代からのアメリカとドイツでのいくつかの試作が繰り返された後、1890年代になると空気の吸引力でハンマーを作動させる方式が考案される。紙を傷つけることが無いため、薄い紙を丸めたロールがソフトに用いられるようになる。1895年に、アメリカのエオリアン社に所属するヴォーティーがアップライトピアノに組み込まれた自動演奏装置「ピアノラ」を発明し、2年後に特許を取得した。1904年にはクラークがこの装置を最初にグランドピアノに取り付けている。アメリカでは「完璧な演奏の再生が誰にでも可能で、練習時間を節約できる」を謳い文句にして、大規模に売り出された。流行のピークは1923年(25年とする記述もある)とされ、1929年の大恐慌や、蓄音機やラジオの隆盛によっていったん廃れるまで、当時の市場では自動ピアノが普通のピアノの売上を上回った。主な製造業者にはエオリアン社、アメリカンピアノ社やオーケストリオンと呼ばれる自動演奏オーケストラを発売したフライブルグのヴェルテ社などが挙げられる。
このピアノも音楽ソフトにロール紙を用いた自動ピアノ。ペダルの上に扉があり、開くと足踏みのフイゴが現れる。このフイゴを足で勢いよく踏むことで、ロールを送り中のフイゴを動かし、自動演奏に必要なメカニズムを動かす。電動でも動くように改良されている。ロールのなかには歌が書かれたソングロールもあり、カラオケのように楽しめる。(足を踏みながらでは息が切れるが…。)普通のピアノとしても演奏可。 (要修理)
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