ホイール(歯車)を削る機械。
下部の引き出しに数種の削り刃が入っている。
19世紀の初め、スイスの時計メーカーは歯車の形を整えたり、歯車の直径を小さくするために削り刃を組み込んだ機械を使っていた。
削り刃は歯車の歯と歯の間にはめられ、歯車が希望の深さに削れるまで歯と歯の間を前後する。この機械は後に改良され自動的に歯車の形を整えたり、歯車全体を一度に少しずつ削れるようになった。歯車は両側から中央で固定されるため、削る力がかかってもへりは動かない。螺旋状(1周すると初めの位置とずれる)の丸い削り刃は、手廻し車によって回転する。螺旋刃には歯がなく、これらから削ろうとする歯車にぴったり合う。一回転で1つの歯のスペースが削られ、削り終わると螺旋刃が次のスペースに入る。
歯車を両側から中央部でおさえる。へりがひっかからず、後ろの押さえにぴったりと付いているか確認し、スムーズに回転するかを確認する。摩擦の影響で削り刃がぐらつくと、歯と歯の間の溝が非対称になってしまう。中央部をきっちりと固定しても起こってしまう問題点のひとつである。カッターを合わせると螺旋刃が歯と歯の真ん中に当りが、このとき刃の幅は歯と歯の間の深さと同じになる。歯車のへりにじかに刃の中心が当っているか、刃の端が歯車の中心に当っているかを確認する。大抵の機械は刃と歯車の端をさす針がついているが、もしついていなければ、歯車の表面と刃の中心、歯車の中心と刃の表面が十文字にまっすぐに位置しているか確認すれば良い。先端が細く傾斜してしまう歯車でなくするためには、正しくセットすることが最も重要なことだ。刃を歯と歯の間の深さにあわせネジで仮止めする。ハンドルをゆっくとまわして歯と歯の間の正しい位置にあるか確認し、歯車が一回転する間に調節しながらネジを閉めていく。正しく調整できた場合には歯車は丸く、その主軸と同心になる。(正しい深さに削られない場合は、何度も調整する)
機械の中には2種類の深さのネジがついて、少しずつ小さなサイズの歯車のシリーズを作れるものがある。そのような初期のものにカッターのために、多くの螺旋刃がついている。削り機では刃を使う前に歯車に歯が付いている必要がない。歯車のへりに適切な数の溝や傷があれば、螺旋歯はその溝を感知して、歯の形にする。現在では刃は製造されていないが、古いセットが売り出されることがある。歯形は基本的にスイス時計産業により規定され、英国規格978型は算定されている。
|