1770年頃のドイツ、黒い森地方のガラスベル付き音楽時計。音楽演奏用の8個のベルが時報の後に演奏を行う。バレルと呼ばれる木製の円筒に音楽信号となるピンが植えられている。6曲入りで、バレルを手動で横にずらすことで曲を変える。時計の歯車などすべて木製。バレル側のバーをひねると演奏が楽しめる。
ドイツの南西、ライン川沿いの黒い森地方で作られた。黒い森地方でカリヨン時計が作られる様になったのは、1640年頃、ボヘミアから来たガラス製品の商人が持っていた木製の時計を農夫が真似たことが始まりといわれている。当時の時計はケースがなく、機構が全て見えるもので、動力源はゼンマイの代わりにおもりを用いていた。時刻は天秤と歯車を連動させることで刻み、針は短針の役目をする1本針だった。その後ケースが付き、2本針になり、振り子が付くようになる。ガラスのカリヨン時計は、1768年頃から作られるようになる。当時、黒い森地方にはガラス工場が多かったこと、また、ガラスは金属に比べて安価であったことから、ガラスのベルが作られた。ベルの形はワイングラスを真似、柄は吊り下げられるようになっている。
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