19世紀の中頃から万博が開催され始め、諸外国の文化がヨーロッパに流入するようになり、異国趣味が一世を風靡する。その中でアラビアのダンサーなど神秘的な美女のオートマタも多数作られた。ビスクヘッドはジュモーの作品。両手に持ったベールを体の後ろで上下させ、首を左右に振りながらダンスを踊る。胸の中にもからくりがあり呼吸しているように動く。
褐色の肌、閉じた口とガラスの眼を持ちモヘアのカツラを付けている。白いレースをあしらったピンクのシルクの衣装を着け、衣装とおそろいの帽子をかぶっている。台にはスタート・ストップレバーが付きメカニズムが組み込まれている。
ルレ・エ・ドゥカン(Roullet & Decamps)
機械技術者であったジャン・ルレが1866年に開業。新しい工作技術を取り入れ、からくりの世界では立ち遅れの目立った技術面と経済面を解決し、翌年の万博で早々に銅メダルを獲得する。ルレが60歳を越した1889年、約20年間共に働いた娘婿のドゥカンをやっと認め「ルレとドゥカンの工房」となる。この年から広く宣伝を行い、その作品は海外にも輸出され、工房は繁栄を極めた
人形: Jumeau(ジュモー)
父ピエールと息子エミールが築き上げたフランスを代表する人形メーカー。太く弧を描く眉、大きくてつぶらな瞳、ふくよかなほおが特徴。
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