ピエロがテーブルに向かい手紙を書いているが、ふと眠くなり首を前に傾け居眠りを始める。するとランプが消えかかり暗くなる、ピエロの首が大きく傾き目を覚ますと、額にあてていた左手をラランプに運び灯を明るくして、また手紙を書き始める。
エクリバンとはフランス語で文章を書く人。 「手紙を書くピエロ」は当時ヴィシー工房とランベール工房で作られていた。
これは1895年にヴィシーにより創られたもののレプリカ。当時のカタログには「手紙を書くピエロ(ピエロ エクリヴァン) 彼はランプのかすかな光で手紙を書く。けれども眠ってしまいランプは消えてしまう。彼は目が覚めてもう光がないことに気付く。ランプの芯を持ち上げようと腕を伸ばす。するとランプが再び灯る。頭を回して瞼を動かす。そして書き続ける。衣装は大変豪華で手が込んでいる。2曲入り。518番。高さ70cm。登録モデル。」とある。
オリジナルの手紙には文字が書かれている。「パリ、1885年、3月23日、親愛なるコロンビーヌ。時間は、もう、年月が分からなくなるほど早く過ぎていきます。私も、同じように、ずっと、あなたを愛しています・・・・」このコロンビーヌとはピエロの恋人で、16世紀以降にイタリアで発生した喜劇、コメディア・デッラルテに由来するようだ。ピエロはコロンビーヌに惚れているが、コロンビーヌにはアルレッキーノ(ハーレクィン)という恋人がいて、三角関係・・・。
曲:Au Clair de la Lune 月の光のピエロ
Michel Bertrand(ミッシェル・ベルトラン)
(1928~1999)
フランスで造園師の息子として生まれる。幼い頃からオートマタに興味を持ち、当時業界のリーダー的存在であったJAF社で修行。1968年、JAF社(ヴィシー工房)を引き継ぎゼンマイを使った伝統的オートマタ作りに専念する。また、古い作品の修復にも力を注ぎ大きな業績を残している。
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