一枚櫛歯のピアノ・フォルテ。ピンの向きを調整することで強弱をつけて演奏する。(レストアの作業などにより、ピンの向きが変化してしまうために、きちんと強弱を演奏できるこの手のタイプのピアノ・フォルテは現存数が少ないとのこと。)
序曲2曲とオペラの曲6曲を演奏するが、序曲は1回転で1曲、その他の曲は半回転で1曲を演奏する。シリンダーの半回転の位置にストッパーが落ち込む孔が開いているが、1回転で1曲を演奏する1.2曲目の時は、孔の部分にポッチが浮き上がり、途中で止まらないようになっている。エアーブレーキに錘がつき、シリンダーの回転を安定させ、演奏をよりよいものにする工夫がなされている。櫛歯も手作り感の残る味のあるもの。
ルクルト&グランジェ Lecoultre & Granger (1840 スイス ジュネーヴ)
品質の高いシリンダーのメーカー。ヘンリー ルクルト(Henri Lrcoultre:1792-1856)とジャン フランソワ グランジェ(JEAN FRANCOIS Granger:1801-1844)は1840年からパートナーシップを結んだが、1844年12月にグランジェが死亡し僅か4年で社を閉じた。序曲3曲とワルツ1曲を演奏し、Musique Expressiveと呼ばれる一枚櫛歯のフォルテ・ピアノの記録がある。
2 OVERTURES & 6 AIRS EXPRESSIFS (EXPRESSIVE:表現力に富む)
1. Le Matrimonio de Cimarosa 「秘密の結婚」より 序曲 チマローザ
2. Le Semiramide de Rossini 「セミラーミデ」より 序曲 ロッシーニ
3. Saffo aria 「サッフォ」より アリア パチーニ
4. Saffo finalea 「サッフォ」より フィナーレ パチーニ
5. Angiol di Pace 「ランダのベアトリーチェ」より 平和の天使 ベッリーニ
6. La Parisina 「パリジーナ」より マスカーニ
7. La Norma 「ノルマ」より ベッリーニ
8. I Puritani 「清教徒」より ベッリーニ
|