シリンダー・オルゴールの名門であったメルモド・フレール社は1890年代になってシリンダーの技術を生かし、ヨーロッパやアメリカ向けにディスク・オルゴール生産を開始した。主要製品はステラとミラで、ほとんどはケースなしの機械部分だけが販売され、イギリス、アメリカ、フランスを始めとする各国で独自のケースに納められて販売された。
このコンソール型は1000台程製造された。
アメリカの代理店ジャコット・ミュージック・ボックスはその広告に”信じられないほどの美しい音”Unequaled for sweetness, Harmony and volume of tone(音色の甘さ、調和、ヴォリュームとも類がない)と謳っている。ミラは低音用の櫛歯を別に持っているのが特徴。向かい合った櫛歯は、高音部の69本はデュプレックスコーム(1つのスターホイールで2本の櫛歯を同時に弾く)だが、低音部の12本の櫛歯はダブルコーム(1つのスターホイールで1本の櫛歯を弾く)となっている。リム・ドライブ方式によりディスクを回転させる。チター・アタッチメント及び速度調整付き。ケースに油を注す注入口が3つ付いている。また、ディスクとスター・ホイールがしっかり噛み合うように車の付いたバーがクロスバーの下に付いている。これは1897ー1898年以降のほとんどのメルモド社製オルゴールに使用され、特にステラ、大型のミラに使用されている。
「エンプレス」はリオン&ハーリー社(イリノイ州、シカゴ)のブランド名で、オルゴールからバンド・オルガンに至るまですべてに明記されている。
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