オルゴールの内蓋にはブリタニアが描かれている。B.H.A社は1896年にロンドンにオフィスを構えたため、ブリタニアとインペリアルというふたつのブランド名でイギリスの市場拡大を狙った。
ブリタニアとはイギリス・グレートブリテン島のラテン語名で、イギリスを擬人化した女神ブリタニアとともに、イギリスの象徴とされている。古代ギリシア・ローマ風の鉄兜をかぶり、イギリスの国旗の模様(ユニオンジャック)が描かれた盾とギリシャ神話の海洋を司るポセイドンが持つ三つ叉の槍(トライデント)を持っているのが特徴。
ブリタニアはイギリスにちなんだ命名によく使われていて、王室の帆船や旅客機、蒸気船や戦艦などにもブリタニア号と名付けられたものがある。
女神ブリタニアは当時のイギリスのコイン1ペニーや最近まで活躍していた50ペンスにも刻印され、日本の桜や富士や鳳凰と同様にイギリスの象徴とされる。
このオルゴールは家庭用のテーブル・タイプで1枚の櫛歯を持ちリム・ドライブ方式でディスクを回転させる。ケースの内側にスタート・レバーと速度調整レバーが付いている。ケースの底近くにベッドプレートがあり珍しい。ディスク押さえバーの先端部分がハープの模様になっていてる。またインペリアル、ブリタニアの音は非常に高いといわれ、コレクターの意見は様々で、「ここちよい」「その音はポリフォンよりも多くの発見がある」「耳障り」「下品」等がある。
B.H.アブラハムズ社 (スイス サン・クロワ)
スイスに行ったイギリス人のバーネット ヘンリー アブラハムズにより1857年に創業されました。安価なシリンダー・オルゴール(通常はベル付がついていた)を製造していましたが、1898年頃からブリタニアとインペリアルのディスク・オルゴールを製造しました。製品のほとんどは、ロンドンのスターシルバー販売店を通してイギリスで販売されました。事業は1900年まで続きました。
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