テーブルタイプでは珍しいコイン・オペレート式のオルゴール。家庭用のテーブルタイプの宣伝用として作られたように思える。ケース正面にコイン投入口がありコインを1枚入れると演奏する。ケース左下にコイン回収ボックスが付いている。櫛歯は中央軸を挟んで、両側に1つずつセットされているが、これはシンフォニオンの小型、中型のディスク・オルゴールの特徴でもある。「サブライム・ハーモニー式」と呼ばれ豊かな音を提供するが、ディスクの製造は複雑になる。センター・ドライブ方式でディスクを回転させ、ケース右側のハンドルでゼンマイを巻き上げる。
正面(蓋裏)に貼られたシートには「取り替え用のディスクにより5000曲以上を演奏出来る」「コインオペレート方式でない家庭用のものは(W.J. Dyer & Bro., St. Paul, Minn.)で販売されている。(販売店名は手書き)」「使用方法(音楽ディスクの交換について) 機械上のバーを持ち上げる。センターピンにチューンシートをあわせる。ホルダーを下げ、しっかりとその位置に固定されているかを確認する。」「注意!櫛歯や機械には触れないように!」と書かれている。
シンフォニオン・マニファクチャリング社 (アメリカ)
シンフォニオン社は1890年代初め頃、アメリカの大きな市場を開発するためにシンフォニオン・マニファクチャリングという名で姉妹社をアメリカに創業。ニュー・ヨークにオフィスを構え、“インペリアル シンフォニオン”の商標で、アメリカ人の好みに合うようなオルゴールを販売した。このImperialという商標がドイツから輸入したディスクとアメリカ製のものを区別していた。ポリフォン社がレジーナ社を成功させたようには上手くいかず、1900年代の初めに操業を停止している。
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