ステラは突起のないディスク(Andre Junod特許)を用いるのが特徴。ステラの独特のスターホイールはスプリングを搭載しており、1つ1つ独立した上下運動と回転運動を行う。ディスクの孔がスター・ホイールの上にくると、スプリングによりスター・ホイールは押し上げられ、通過するディスクの孔に掛かって回転し櫛歯を弾く。そのためステラのスター・ホイールの歯は4本。また、ディスクとスター・ホイールがしっかり噛み合うように車の付いたバーがクロスバーの下に付いている。これは1897ー1898年以降のほとんどのメルモド・フレール社製のオルゴールに使用され、特にステラ、大型のミラに使用されている。ステラのディスクは最初亜鉛で作られていたが、後に鉄製となった。
ステラ・オーケストラル・グランドはステラ最大直径のディスク・オルゴール。コイン・オペレート式でコイン1枚で1曲を演奏する。その美しい音色と音量の大きさからパーラーや大ホールの営業用に適していた。櫛歯は100本のダブル・コーム(ひとつのスター・ホイールで1本の櫛歯を弾く)、リム・ドライブ方式でディスクを回転させる。ケースの右横に速度調整のレバーが付いている。ディスクを収納するための専用ケース台が付いている。
メルモド・フレール社 (スイス サン・クロワ)
シリンダー・オルゴールの名門メーカー。シリンダーの技術を生かし、ヨーロッパやアメリカ向けにディスク・オルゴール生産を開始した。ほとんどはケースなしの機械部分だけが販売され、イギリス、アメリカ、フランスを始めとする各国で各地のディーラーが独自のケースに納めて販売した。
中でも最大のディーラーであったシカゴのリヨン&ハーリィは後世に名の残る“ステラ”、“ミラ”の2機種を作り、ヨーロッパやアメリカの市場に参入した。ステラは突起のないディスクを使用し、直径24.4cmから43.8cmまでの8種類。1896年に発売された。ロンドンでは代理権を獲得したアルフレッド ペイラードによって1899年にアメリカ製のものとは外観が異なるステラを発売。
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