エロイカとは「英雄」の意で、1895年から製造され、シンフォニオン社の自信作といわれていた。A(メイン)、B(サブ)、C(アクセント)の3枚のアレンジの違うディスクをセットして演奏する。低・中音用34+高音用16の計50歯の櫛歯3対で合計300歯を持ち、櫛歯は一組を並べてセットせず、向かい合った反対側にセットするして音の広がりを効果的にする、サブライム・ハーモニーの演奏を奏でる。センター・ドライブ方式(3穴)でディスクを回転させ3枚のディスクを同調させている。3枚のディスクを回転させるために2つのゼンマイを使用している。ケースにはディスク入れを付けずケースそのものを反響板として使用する設計のため、音量が大きく迫力のある演奏が可能とされる。エロイカ用のディスクはNo.8001から始まる8000番台の番号が付いている。38at:コインスロット付き、38Bz:ガラスパネル、38H:木製パネル、38R:パネルにあつらえの広告入り。
当時の広告に「この楽器が持つ能力は、これまでのいかなるオルゴールにも見られなかった効果をもたらす。ケースはクルミかオークであり、極めて堅固で趣味がよい。正面のパネルは絵の描かれたガラスか、あるいは彫刻されたパネルが注文できる。」とあるが、各々のベッドプレートはサイドパネルに取り付けてあるために期待したほどの音量は得られていない。
シンフォニオン社 (ドイツ ライプチヒ)
ディスク・オルゴールを最初に作ったメーカー。ディスク・オルゴールの発明者であるパウル ロッホマンが1885年に創業し、翌年には最初のディスク・オルゴールを発売しました。創業以来数多くの製品を送りだし急速に発展していきました。ディスクの直径11.5㎝(ディスク最小)から76㎝まで、小型から大型まで21種類のディスクがセットできる多種多様のオルゴールを発売しました。なかには2枚のディスク、3枚のディスクを同時に使用するユニークな製品も作られました。ポリフォン社、レジーナ社とともにオルゴールの三大メーカーといわれています。アメリカには子会社のシンフォニオン・マニュファクチャリング社を設立。1920年代まで継続していたが、20年代は主に蓄音機を販売していた。