シリンダー・オルゴールの名門であったメルモド・フレール社が、最大のディーラーであったシカゴのリヨン&ハーリィとともに、後世に名の残る“ステラ”、“ミラ”の2機種を作り、ヨーロッパやアメリカの市場に参入。機械部分だけを製作し輸出していた。アメリカの代理店ジャコット・ミュージック・ボックスはミラの広告に”信じられないほどの美しい音”と謳っている。ミラのディスクは直径11.4cmから39.4cmまでの7種類、1902年に発売された。
この機種はテーブルタイプの家庭用。低音用の櫛歯に特徴があり、向かい合った櫛歯は、高音部の69本はデュプレックスコーム(1つのスターホイールで2本の櫛歯を同時に弾く)だが、低音部の12本の櫛歯はダブルコーム(1つのスターホイールで1本の櫛歯を弾く)となっている。チター・アタッチメント及び速度調整付き。ケースに油を注す注入口が3つ付いている。また、ディスクとスター・ホイールがしっかり噛み合うように車の付いたバーがクロスバーの下に付いている。これは1897ー1898年以降のほとんどのメルモド社製オルゴールに使用され、特にステラ、大型のミラに使用されている。
メルモド・フレール社 (スイス サン・クロワ)
シリンダー・オルゴールの名門メーカー、メルモド・フレール社は、シリンダーの技術を生かしヨーロッパやアメリカ向けにディスク・オルゴールの機械部分だけを製造し輸出していた。アメリカやイギリスなど各地のディーラーが組み立て、独自のケースに納めて販売していた。中でも最大のディーラーであったシカゴのリヨン&ハーリィは後世に名の残る“ステラ”、“ミラ”の2機種を作り、ヨーロッパやアメリカの市場に参入した。ステラは突起のないディスクを使用し、直径24.4cmから43.8cmまでの8種類。1896年に発売された。ロンドンでは代理権を獲得したアルフレッド ペイラードによって1899年にアメリカ製のものとは外観が異なるステラを発売。